農福連携シンポジウム開かれる

2018.07.24 Tuesday 16:18
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     障害を抱える人たちなどが農業に就労することで生きがいを得るとともに、

    農家の人手不足の解消にも役立てる「農福連携」を、ユニバーサル就労の一環として

    考えていこうという「農福連携シンポジウム」が23日夜、富士市交流プラザで開かれました。

    市議会ユニバーサル就労推進議員連盟が今年の活動の目玉のひとつとして企画した催しで、

    福祉や農業関係者のほか、一般市民グループ、市職員、主催の議員など約80人が参加して、

    全国の農福連携の紹介に耳を傾けたり、市内での連携の可能性などについて意見交換しました。

    全国農福連携推進協議会会長の濱田健司さんが基調講演

     基調講演の濱田健司さんはJA共済総合研究所の主任研究員を務める傍ら、

    全国農福連携推進協議会会長として、農水省、厚労省の橋渡しをするなど

    農福連携の最前線で活躍しています。講演では農福連携の意義、全国の事例紹介、

    全国で広がりつつある現状やこれからの期待―などについて写真での紹介も交え

    ながら話しました。

     濱田さんは「農福連携」の意味そのものが、スタート当初の

    「障害者が農業に従事する」という狭義の考え方から、高齢者や生活困窮者など

    広い対象の人たちが農業活動を行うように変化してきたことなどを紹介。

    全国の農業者が昭和35年に比べ平成27年には86%も減って209万人になってしまった

    こと、その平均年齢が67歳のため、あと数年で日本農業の担い手がいなくなって

    しまうことなどを説明しました。一方で福祉面からみると、身体・知的・精神の

    障害者は936万人、要介護者640万人を合わせると国民の1割を超える就労困難者が

    いることなどを課題として挙げました。

     このため「農福連携」も福祉の側が農業に取り組んだり、障害者だけの子会社を

    作って酪農を行いさらにアイスクリームを作って販売することまでやる企業があったり、

    逆に農業側から福祉施設に仕事を委託する方法など、さまざまなやり方と、それを

    実際に運営している社会福祉法人、農業法人、農作業委託などの事例を報告しました。

    これらの事例では、農業に携わることで障害が軽くなった例や重度の障害者が先頭に

    立つことで他の障害者が一層頑張るケースなど単に働くだけでなく、新たな生きがいを

    見つけるケースなどもあったということでした。

    スマイルベリーファームの豊田由美さんらがパネル討論

     続いて行われたパネル討論では、市内大渕でスマイルベリーファームを経営する

    豊田由美さん、豊田さんの施設の入所者に富士市特産のシキミの芽摘みなどを委託した

    市内今宮の農業渡邉哲史さん、議員連盟副会長の笠井浩議員の3人がパネリストを務め、

    濱田さんのコーディネイトでそれぞれ意見を述べました。また会場からの質問に

    それぞれの立場から考えや感想を述べ合いました。

     この中では、委託する農家には慣れないことによる不安があり指導員の役割が大切で

    あること、また農業について多少は知っている指導員がいるかいないかで作業の質に

    差が出てしまうことなどの指摘がありました。一方、施設側からはこれまで農業に縁の

    なかった指導員にとっては作業そのものが大変なこと、最近では福祉志向の人に農業を

    やってもらうより農業志向の人を指導員として採用するケースも出ていることなどが

    紹介されました。

    「真剣であっても深刻にはなるな」

     濱田さんは農福連携について「真剣ではあるけど深刻にならないよう」にと

    心構えをアドバイスしたほか、富士市が行政と議会が一体となって進めていることに共感し

    「誰もが社会とつながり、何らかの役割を持てる社会に向けて一緒にやっていくのはいいこと」

    と期待をしました。また農業指導にはJAのOBや組合員、県の農業改良普及員などを活用する

    ことで不足に対応することなども提案しました。

     「農福連携」は全国的にも急速に広まっています。農業は食を提供するだけでなく、

    環境問題などにも大きな役割を果たしています。しかし濱田さんが指摘するように、

    その担い手は減る一方です。議員連盟の小池智明会長もメリットして挙げていましたが、

    農業には

    \功体験を繰り返し実感できる

    ⊃祐岼奮阿寮犬物に出会える

    青空の下で仕事でき、誰にでも適した作業がある−と言われます。

    障害者だけでなく、さまざまな働き辛さを抱える人にとって新たな出会いとなるかもしれません。

    「やらねばならない」ものではありませんが、可能性のひとつとして「やってみる」

    価値があるとあらためて考えさせられました。